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富山インド協会


2019年 活動報告

「インドへの進出事例学ぶ」 イセ食品社長が講演

 総会に合わせて講演会も開きました。高岡市にグループ拠点を持つ鶏卵大手、イセ食品の西田隆文社長が「安全安心の卵を世界へ―イセのインドPJ(プロジェクト)」と題し、インド市場参入の取り組みを紹介。自動車メーカーのスズキとの現地法人設立などを挙げ「質の高い卵を低価格で提供し、インド国民の健康増進に貢献したい」と述べました。

※以下は講演要旨

「安全安心の卵を世界へ―イセのインドPJ」

 イセ食品社長: 西田隆文氏

 イセ食品は、国内シェア1位の鶏卵企業で、米国や中国など海外にも進出している。特に今、注力しているのは、成長著しいインド・アセアン地域だ。

 インドの人口は2025年までに14億1千万人に達して世界一に、GDPは28年までに日本を抜いて世界第3位になると予想されている。この二つの節目の年にはインドラッシュが起きるだろう。それまでにどう足元を固めるかが大切だ。

 当社は昨年9月、スズキと現地法人を設立した。インドは年間1千億個の鶏卵を生産しているが、供給が追い付かず、1人当たりの年間消費量は約70個にとどまっている。生産地と消費地に偏りがあり、輸送距離が長くなることで、廃棄ロスや価格上昇を招いているからだ。生産量が増えても供給は不安定なまま、消費者の手元へ卵が届かない。つまり、まだ伸びしろがあるということだ。当社は▽飼育環境や飼料品質の改善▽鶏卵品質基準の制定▽チルド配送の実現―を通して競合他社と差別化を図っていく。ひいては、食の安全安心や食品ロスの軽減、雇用機会の拡大など、インドが抱える課題解決にも貢献できると考えている。

 現在はデリーとテランガナ州の2カ所でプロジェクトが進行している。先行するデリーのプロジェクトは、インフラの整った外環道路沿いに土地を購入し、2020年の生産開始を目指している。現地では、工場から倉庫まで、スーパーから消費者までのコールドチェーン(低温物流網)を構築。宅配は、これまで雇用機会に恵まれなかった女性の力を活用したいと考えている。また注文・決済アプリの導入も目指す。こうしたプラットフォームが確立されれば、鶏卵に限らず、あらゆる物販に生かしていくことができるだろう。

 日本の食品・物流企業のインドでの事業展開を後押しする「日印フードビジネス協議会」(会長・鈴木修スズキ会長)が昨年5月に発足した。定期的に開催しているセミナーでは、インドでのビジネス展開を考える上で有益な情報を学ぶことができる。ぜひ富山からも参加してもらいたい。

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